三重県伊勢市で振袖・振袖レンタル・着物のことならおく宗。池田重子展を終えて。
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江戸末期、文政二年(1819年)創業以来、皆さまの節目節目のお手伝いをさせていただいております。その経験と知識を活かして、皆さまの振袖や着物に関するお悩みやご相談に対応しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さいませ。
今年は、思いの他4月に入ってからも朝夕ひんやりする日が多く、ここ2~3日で急に汗ばむ陽気となってきました。気温の変動が昔にくらべると急になりましたね。
先日は、当店にて『日本のきもの 池田重子 きものコレクション』を開催しておりました。4月11日~13日の3日間の開催でしたが、たくさんのお客様にご来場いただき池田先生のきものをご堪能いただきました。
ここで少し池田重子先生のご紹介をさせていただきます。きもの雑誌「美しいきもの」「婦人画報」「家庭画報」などでも連載されていましたので、ご存じの方も多いかと思います。本名は、鈴木重子、昭和元年の横浜生まれだそうです。2015年に他界されましたが、今年(令和7年)は昭和100年なので、もし生きておられましたら今年100歳になられていました。おじい様が米相場で大成功し一代で財をなし、横浜では「鈴木商店」「鈴木財閥」として有名だったそうです。そうした環境のなかで幼いころから魯山人の陶器でお茶漬けを食べていたというエピソードがあるくらい美術品に囲まれた環境で育ちました。日本でも有数の上流階級の名家や地方の旧家の人々との交流があったこともあって次第と着物の美に目覚めていったそうです。最初は、1つの帯留から、趣味として着物の収集を始めたそうですが、ある年に古物商の免許を取り、仕事として集めるようになっていったそうで、現在では約5万点のコレクションを所有されています。主に明治、大正、昭和初期の着物、帯をはじめ、半衿や帯締め、帯揚げ、帯留などもコレクションしてみえます。
1993年~2001年にかけて過去4回、新宿伊勢丹美術館で開催された「日本のおしゃれ展」は、たくさんの人々を動員する反響がありました。私自身も2回ほど新宿伊勢丹美術館でコレクションを拝見しました。入館する前は、10体くらいかなと思っていましたが、いざ入館してビックリ、100体近いトルソーにそれぞれにコーディネートされた本当に本当にとってもお洒落な着物達がずらーーーーーっと並べられていて、圧巻以外の何ものでもありませんでした。興奮のあまり、テンション上がりまくりで、警備の方に目を付けらっれてしまうほど興奮して見せていただいたことを思い出します。
それ以前から「夢工房」(大正ロマンがコンセプト)というブランドのデザインをされていたのですが、1995年に「池田重子きものコレクション」を立ち上げられ、池田先生の5万点のコレクションの中から選りすぐりの柄を選び出し、現代の着物に染め出しされています。
明治、大正、昭和初期のいわゆるアンティーク、ヴィンテージのお着物は、本当におしゃれなものがたくさんあります。明治維新で西洋の文化が入ってきたこと、化学染料の発達で今までにない色が染められるようになったこと、身分の差が江戸時代より小さくなっていったこと、着物の職人さんが切磋琢磨して腕を競っていたであろうことなど、色んな要因があいまって明治、大正、昭和初期の着物のおしゃれ度は高まっていったのではないかと思います。悲しいことに、昭和も時代が進んでいくと着物どころではなく、戦争一色になっていくのですが、、、
そんなおしゃれな時代を色濃く反映させた「池田重子きものコレクション」をおく宗で開催させていただくのは、今回で4回目となります。完全に店主の好みが大きいです。笑。もちろんお客様の中にも大ファンの方が多くいらっしゃいます。2020年(令和2年)と2021年(令和3年)の開催時には、重子先生の次女である由紀子先生にお越しいただき、重子先生のことや着物のことなどたくさんのことを学ばせていただきました。とても上品でありながら気さくなお人柄の由紀子先生に、さらにファンになってしまいましたが、なぜか一緒にお写真を撮るのをすっかり忘れていた私は、後悔しかありません。涙。IKKOさんが着用される着物のプロデュースも手掛けておられるので、そのお話などもお聞かせいただきました。IKKOさんと池田先生たちとは、IKKOさんがお若いころ(TVに出る前)からのお付き合いだそうです。
明治、大正、昭和初期のお着物には、半衿をたくさん見せて着ることが流行だったそうで、五千円札の樋口一葉や津田梅子などもそのように描かれていますね。そのため、池田重子コレクションでは、オシャレな半衿も製作していらっしゃいます。
そしてこの時代、長羽織も流行していたそうで、今回のコレクションにはたくさんの長羽織を製作されていました。由紀子先生によれば、その時代、上流階級の奥様方は「帯付き(羽織をきていない状態)」で外出することは、腰から下の身体のラインが出てしまうということで、はしたないことだとされていたようです。
また、池田重子コレクションでは、帯留も欠かせません。コレクションが1つの帯留から始まったことにも由来しているからと思われますが、江戸時代から明治時代への移行期、それまで刀装具を製作していた職人が「廃刀令」により「帯留職人」へ変遷していったといわれています。その後、帯留は大変流行したということです。そのため、アンティークやヴィンテージの帯留には、大変手の込んだものが多く、現在では製作できないものなども多くあると思います。
池田重子きものコレクションは、機会がありましたらまた開催したいと思っています!
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